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顎変形症と顎矯正手術
顎変形症とは、上下の顎の骨の形態(大きさや形、位置など)異常により、嚙み合わせの問題や、顔の変形をきたす疾患の総称です。一言で顎変形症といっても、上顎前突や下顎前突など様々なタイプがあり、治療法も多岐に渡ります。歯列矯正により改善が図れる場合も多くありますが、歯列矯正のみでは不十分な場合や、矯正治療期間を短縮したい場合などでは、外科的アプローチ(顎矯正手術)を行います。
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主な手術方法
セットバック手術 (歯槽骨骨切り術)
奥歯の噛み合わせは良好ですが、上下の顎が突出している場合に行う治療法です。上下の小臼歯を抜歯し、抜歯したスペースの顎骨の一部を切り取って、上下の前歯を骨ごと後方へ移動させます。比較的、体への侵襲が少なく、顔貌を改善することができます。
下顎枝矢状分割術( SSRO )
下の顎が突出または後退している場合に行う治療法です。いわゆる”受け口”と呼ばれる状態に対して頻繁に行われます。下顎枝と呼ばる、顎関節と下顎角(エラ)の間の骨を分割して、顎骨を予定の位置まで移動し固定します。やや侵襲が大きくなりますが、前方への移動や後方への移動だけでなく、顎の傾きや非対称も改善することがでます。手術前に歯列矯正を行ってから手術を行う方法と、矯正治療に先立ち手術を行う方法(サージェリーファースト法)があります。
上顎骨切り術( Le-FortⅠ型骨切り術)
上の顎が突出または後退している場合に行う治療法です。上顎の骨を水平方向に分割し、上顎全体の歯列ごと前方または後方へ移動し固定します。こちらもや侵襲は大きいですが、歯列全体を移動させることができるので、前方・後方移動だけなく、歯列の傾や咬合被蓋なども改善することができます。
おとがい形成術
過度に突出したおとがい部の形態を修正する場合や、上述の下顎枝矢状分割術を行った後の顔貌のバランスを整える場合などに行う治療法です。顎先の骨を分割して、先端部の骨のみを前方または後方へ移動し固定ます。
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治療費について
認可を受けた施設において顎変形症の診断を受けた場合、手術は保険治療で行うことができます。この場合は、術前に歯列矯正を行ったのち、顎矯正手術を行い、術後に再度歯列矯正を行います。その他の場合や、サージェリーファースト法による顎矯正手術の場合は、保険外治療となります。
※当科では歯列矯正を行っておりませんので、必要に応じて提携の矯正歯科へ紹介させていただきます。 -
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